ページを開いたら、わたしは歌舞伎町にいた
「チュベローズで待ってる AGE22」を読み終えました。
※ネタバレは一切ございませんので、読了前の方もご安心ください!
本を開いた瞬間インクと紙の匂いがして、ここに加藤さんのいろんなものが込められてると思ったらドキドキした。すきなアイドルの心の中を透かしてみれるだなんてなんて贅沢な体験なんだろう!
エンタメ要素の強い小説の冒頭にも文学的な表現を用いるあたりが加藤さんらしくて。「雲霞」という単語を使うあたりに、もう加藤シゲアキカラーが出ているよね!?わたしはこういうきれいな書き出しをする人がすきだ。
まず上巻を読み終えた今思ったことがある。初めて彼の小説を読んだとき、小難しいことばをあえて使っているのかなぁって思うような箇所がよくあった。だから物語と同じくらいワードに引っかかることが多かったんだけど。そこに関して、作品を重ねるごとに変化してきたのを感じた。たしかにここぞってときのワードセンスは今までの加藤さんのままなんだけど、良い意味で肩の力が抜けたような印象でした。シンプルな表現になった分、ストーリーや構成の面白さが際立って、洗練されたような、そんなような気がします。
わたしが普段読んでる本業が作家の方が書いた本となんら遜色はなく、著者名を隠して読んでもらったら人気作家の最新作のような貫禄さえある。シンプルに言うと、
面白かった!!! 以上!!!
会社の休憩時間や通勤時間、睡眠時間を削ってまで先が読みたいと思う本はなかなか無い。
そしてこの本は没入感がすごいので、同期に話しかけられても全く返事を返せなかったほど。
コレ、わたしが加藤さんの物語に惹かれる理由の1つだと思ってるんだよね。過去の作品も含め、東京のどこかが舞台になっているんだけど、ストーリーだったり設定はどこか現実離れしていて「あ〜、あるある」「わかる」っていうレベルの身近さはほとんど感じられない。なのになんだろうなぁ。近くで光也や雫が女の子に甘いことばを囁いている光景を見ているような気分になる感じ。物語の中には決して入れないけど、すごく近くで見せてもらってるような感覚。
この記事の中で羽田さんは、
でも加藤さんの場合は、けっして必要最低限の風景描写を抜かない。人間がなにかを認知するとき、そこには風景があって、場所があって、人と出会って会話して、そのあと何かを考えるという流れがある。なにかを認知するときに、風景を無視することは絶対にできないんですよ。その“空間を立体的にあらわす描写”が、加藤さんはすごくうまい。
加藤さんをこう褒めています。この記事読んで驚いた。まさにこういうことなんですよね!自分が見てる景色に近い景色を文字で綴ってくれているからなんだろうなぁ、と。だからわたしはまるで歌舞伎町にいるような気がしたんでしょう。
物語の感想は下巻を読んでからにしようと思います。とりいそぎ、新作を読んで感じたことです!
末筆ではございますが、新作発売おめでとうございます。そして15万部突破、重版決定もおめでとうございます。