宝箱

すきの定義は「心を動かされる」こと

世界中の悪意を焼き尽くすヒーローになりたい

世の中にはいろいろなヒーローがいる。

 

本の世界にも、アニメの世界にも、ドラマの世界にも、もちろん現実世界にも、物語のあるところには大抵ヒーローがいる。ヒーローといってもみんながみんな自分のことをヒーローだと思ってないかもしれないけど、誰かから見たら実はヒーローだったなんてこともあると思う。小さくても、誰かのヒーローでこの世の中に溢れている。

 

 

悪意が消える魔法はない

 

わたしは、世界中の悪意を焼き尽くすヒーローになりたい。

呪文を唱えると、唱えられた人の中から「傷つけよう」という気持ちがジュワッとなくなる。勝手に自分のすきなものがボコボコにされるのを黙って見なくて済むし、自分が殴りかかりそうになっても手を下げることができる。 

だけどもちろんそんなのは夢の話で、現実世界ではそんなヒーローにはなれない。悪意は悪意のまま人と人の間に蔓延るし、呪文を唱えてもきっと消えることはない。全員がいっしょに幸せになることはできないんだから、当たり前のことなのかもしれない(もちろん「幸せになることはできない」と断定はできないけど、AさんとBさんがCさんをすきになって、CさんがAさんを選んだら、Bさんは一瞬でも不幸になってしまうと思うから、できないってことにしておくね)。

じゃあわたしはどうしたらいいんだろう。悪意に晒されて笑えなくなる姿を、世間が騒がなくなるまでただじっと見守っていることしかできないのかな。心の中がかき乱されていく時間を、苦しみながら過ごすしかないのかな。

 

なんでよ!顔も名前も知らないような人が、人の気持ちに土足で踏み込む権利なんてないのに!

 

正論を振りかざして人を傷つけるのが1番タチが悪い。悪いと思ってないんだもの。反省なんてしてないんだもの。傷つけられる側だけが立ち直れないなんて、そんな馬鹿なことを許せるような人間じゃない。

悔しいよ。悔しい。でも無力なんだ、わたしは。どんなに騒いでも、呪文を唱えても、人が悪意に傷つけられる瞬間がなくなることはない。悲しいけど、ヒーローにはなれない。

 

 

謝罪は心を痛めている人にだけで

 

芸能界で少し前から悪意の標的なのが"不倫"だった。誰かを「陥れよう」という確固たる意志が見える一時期の報道には嫌悪感しかなく、偉そうなことを言うコメンテーターのことばも聞きたくなくて(仕事でしょうけどね!)、しばらくテレビを見たくないようなときがあった。1対1の問題に、世間を巻き込む必要はあるんだろうか。だって、わたしに謝られても困る。別に迷惑かけられてないもん。その人のファンでもなんでもないし、冷たいのかもしれないけど、世の中にある不倫すべてを許せないほど正義感が強いわけじゃない。わざわざメディアを挟んで「こんなに悪いことをしました」って謝罪しなくても。謝るなら、相手、相手や自分の周りの人、心配をかけたファンに謝ってくれればいいと思っちゃう。あやつり人形みたいな姿で、誰に謝ってるのかわからない謝罪をすることに意味はあるのかな。学校でもし自分に悪気がなく人を傷つけてしまったとき、全校生徒の前で謝ったことなんてないでしょ。本人たちの間だけで解決だよ。

人の人生が崩れていく様子を見て、誰が満足だったんだろうね。

 

ファンを悲しませる事実があること自体を許しているわけじゃない。ただ、償いを見せしめのような形でする必要はないと思う。全部、人の不幸をつまみにしたい人の遊びでしかない。無抵抗な1人を大勢で叩く行為が、本当に正義だなんて思ってるんだろうか。同じことを自分がされても正義だと思える?思えなかったら、それはきっと正義じゃないよ。

 

 

悪意に勝つ方法は

 

あるのかな。ないのかな。わかりません。ひとつ言えることは、悪意に悪意で返してはいけないということ。善意からも悪意が生まれてしまうかもしれないけど、悪意からは悪意しか生まれない。

悪意を消し去るヒーローにはなれないし、悪意を無視するくらい強くなれるとは思わないけど、悪意が見えないくらい何かをすきになることはできるのかもしれない。すきだと声をあげることはできる。すきな気持ちは大切にしたいね。

 

 

少しだけ

 

同じタイミングじゃないのに、先週、今週と立て続けに1つのグループのことが、同じところから報道されるというのはまぎれもない悪意だ。今週の件は先週の件に便乗しているだけで、飲酒したという事実はないのに、あたかもそうであるかなような見出しをつけられているのも、なんだかなぁ。だけど、今回の件に関しては悪意だけが悪いわけじゃないということもわかってる。それを「悪意のせいだ!」と責任転嫁するつもりはない。悲しいけど、どんなに小さな火でもどうにかして煙をたたせようとするがいるんだよ。自分は火だと思っていなくても、他人から見たら火に見えるなんてこともあるんだよ。だからどっからどう見ても火に見えないようにしないといけないのかもしれないね。それがどんなに大変なことか、一般人のわたしには計り知れません。

 

全部は受け入れられないし、今は心の底から「信じてる」と言えないかもしれない。目に見えないものを修復するのはとっても難しいね。だけど、欠けたパズルを完成させるには、同じピースをはめるしかないんだろうなって思ってるよ。

悪意のないところで、もう一度立ち上がれますように。そして今が霞むくらい輝いて。その姿を見て、また笑顔になりたいな。