宝箱

すきの定義は「心を動かされる」こと

ジャニオタがお題箱でオススメの本を募ってみた(1)

こんばんは。あの海の砂ことろくです。

「増田さんと過ごす夏以外夏じゃない」を口癖に平成最後の夏を駆け抜けようと思います。 

 

先日ツイッターでこんなかんじでつぶやいてみた。

 

 

すると、何冊もオススメの本があがって参りました!もう超~~~うれしかったです、ありがとうございました!!!

 

聞いたことはあるけど読むきっかけがなかった本、タイトルすら知らなかった本もあれば、すきな作家さんの本、手元にあるくらいすきな本、読んでみたいと思っていた本もあって面白かったです。

 

みなさまがオススメしてくださった本、今読み進めている最中でございます。読了した作品に関して、ささやかながら感想を残しておきます。

 

1.「光の帝国 常野物語」(恩田陸)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

 

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

(リンク先より引用)

 

トップバッターは、恩田さん!キターーー!!!

有名なのはやっぱり「夜のピクニック」でしょうか。わたしの高校には同じように夜を通して歩き続けるというイベントがあったので、余計にノスタルジックな気持ちになる作品で、だいすきです。あとは2016年に直木賞本屋大賞をW受賞した「蜜蜂と遠雷」。こちらは音楽を題材にしており、自分の中でも期待値が高いあまりまだ読めてない…。読み始めたら終わっちゃう…。お盆に帰省する道中に読むため、そろそろ買おうと思ってます!

 

そんな恩田さんの初期作品の1つがこの「光の帝国 常野物語」。”じょうの”だと思ってました、失礼しました、”とこの”です。”とこのものがたり”。10つの短編から成るこの1冊、ある話にでてきたある人がまたある話で登場したりするので、名前ひとつにも気を抜けません。

恩田さんは得体のしれない不穏さで緊張感を煽るのが上手いと思っていて(ネバーランド」なんかもそうかな?)、この作品はそれを顕著に感じました。様々な特殊能力を持つ”とこの”の人々がかわるがわる現れるたび、「なにか起こる?起こるんでしょ?」という気持ちがムクムクと!実際にはわたしが想像していたようなことは起きなかったり、はたまた予期せぬことが起きたりするから、恩田さんの想像力はすごい。その想像力に手招かれ、読書を読む醍醐味である”想像”をまんまとさせられ、ページをめくる手が止まらない。気になってしまう。最後まで「なにか起きそうな気がする」という緊張感と戦いながら読み終えました。

様々な特殊能力と先述したけど、例えばわたしがすきだった「大きな引き出し」では古典文学やオーケストラのスコアをすべて暗記することができるという能力があったり。記憶することを「しまう」という、その表現がすきだった。始めの方は「しまう」がなんのことだかわからないから、頭にハテナを浮かべながら読むんだよね。それがだんだん紐解けていく気持ちよさなんかもあります。

普通の人とは違う力を持っているゆえに、ただ普通に生きることも難しい。なんていうか、超能力者っていう感じではなくて、ただちょっとだけなにかに長けているのが常野の一族なのかな。ただそれを悪いことに使ったりっていう描写は1つもなかった。自分の能力に疑問を持ちながらも、きれいに生きる彼らが印象的でした。

 

もともと常野に集結していた一族は、今は日本に散らばりひっそり暮らしている。もしかして本当に”とこの”の誰かがどこかにいるのかもしれない。続編「蒲公英草紙」「エンド・ゲーム」2冊も読みたいです。儚くて優しい、不思議な1冊でした。

 

 

2.「アイネクライネナハトムジーク」(伊坂幸太郎)

ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL…。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。  

(リンク先より引用)

 

すきな作家さんは何人かいますが、そのうちのひとりがこの伊坂さんです。うちにある伊坂さんの本を呼び寄せてみた。ピピ~ッ、集合!

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普段は付箋とかマーカーとかしないんだけど、「砂漠」はなぜか付箋まみれだった。しかし該当ページを開いてもどこに感銘を受けたのかわからないという謎。

映像化されている作品もいくつかあり、「アヒルと鴨のコインロッカー」「オー!ファザー」「フィッシュストーリー」は繰り返し映画を見ないわたしが何回か見ているほどおもしろい。そしてそして、斗真くん、山田くんが出演していた「グラスホッパー」も伊坂作品です。

 

すきといっておきながら、実はまだ読んだことがない作品もいくつか。その中の1つが今回オススメしていただいた「アイネクライネナハトムジーク」!

 


アイネ・クライネ・ナハトムジーク

 

1番に思い浮かぶのはきっとこれでしょう!誰しも聴いたことがあるであろう、有名なこの曲。ただ、この本の中にクラシック的な話は1mmもでてきません。代わりに斉藤和義さんの曲が出てきます。

というのも、この作品、執筆のきっかけが斉藤和義さんとのこと。「恋愛をテーマにしたアルバムを作るので、『出会い』にあたる曲の歌詞を書いてくれないか」との依頼があったそうで、「作詞はできないので小説を書くことならば」と答え、できあがったのが1つ目の短編の「アイネクライネ」だそう。もうすでにおもしろい。しかし読み終えて、

 

いや~~~、伊坂さん、すきです、おもしろい!

 

やっぱりおもしろい。ベリーベリーストロングになれる(※急に語彙を失ったように見えますが、読めばわかります。ベリーベリーストロング!)。6つの短編か成るこの1冊、1つ1つのお話として独立しつつ、驚きなさるな、全員がどこかでつながっています。相関図をまとめている方がいたので覗いてみたら、なんじゃこりゃ!
isaka.kamihiko-ki.com

「あれ、この苗字どこかで」「この話には聞き覚えがある」、そういったカケラが散りばめられていて、最後の最後でちゃんとすべての伏線を回収してくれるのが伊坂さん。公園でいじめられていた男子学生、口パクの同級生の登場には「参りました」の一言だった~~~!!!”どこかの話がどこかにつながっている”という短編集に見せかけ、実は1つの長編を違う方向から見ていたような気がします。

 

「ルックスライク」の絡まれた人を助ける『この子がどなたの娘かご存知ですか』作戦がおもしろかったです。

ファミレスでお客さんにクレームをつけられている朱美。2人の間に割って入った男性(のちに判明するが、邦彦)はこう言う。

「あの、こちらの方がどなたの娘さんかご存知の上で、そういう風に言ってらっしゃるんですか?」(p.130)

するとお客さんは「誰か恐ろしい人の娘なのか…?」と怖くなったのか、だんだんトーンダウンした。しかしもちろん恐ろしい人なんでバックにいないし、朱美は笹塚耳鼻咽喉科の普通のお医者さんの娘なんです。なんという作戦。これが何年か後に再現されるシーンがあるんですが、結末に驚きます。

この話は「若い男女」「高校生」という区切りで進むんだけど、交互に描かれていた2つのシーン、突然「高校生」の後にまた「高校生」のシーンだったのが引っかかっていたけど、最後まで読んで納得しました。う~~~ん、さすが!

 

作中にでてくるみんな、なにか特別な人たちじゃないんです。特別大きな事件が起こるわけでもない。それなのに、なんだかみんなの様子が気になるんですよね。伊坂さんの描く人たちは友達みたいで、「最近どうよ?」と聞くような気持ちでページをめくってました。来年の秋に映画化するようなのでたのしみ~~~!ちょっと弱くてちょっと強いみんなの1冊でした。

 

 

 

 

偶然にも今回オススメしていただいた2冊、共通しているところが「短編だけどつながっている」という。伊坂さんがすきという時点でお察しですが、こういう作品がだいすきで!いろいろな人の声が聞こえてくるのがリアルだというのと、物語の中の登場人物が自分の見えないところで生きていたんだなと感じられるのが面白いなって思います。どちらもたのしく読ませていただきました。