宝箱

すきの定義は「心を動かされる」こと

NEWSのすきな曲、コンサート演出、衣装ベスト10

増田貴久の○○が5周年! おめでとうございます!

そんなおめでたい記念に現在ますださんによる一問一答企画が行われている。そこでこんなことを言っていた。

俺らの曲で好きな曲!

聞きたい。

なんで好きか!

好きな演出とか!

衣装も聞きたいな!

ここでオタクの頭がフル回転を始めてしまう…!!!

そこで改めて自分のすきな曲、コンサート演出、衣装を10個ずつあげてみることに。ちなみに厳選するだけでもかなり時間を要しており、泣く泣く削ってそれぞれ10個に収めている。順番を決めるなんてことになったら時間が足りず人生が終わってしまうので、上位を順不同で並べることにした。

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すきな曲ベスト10

最初かなり絞って選んだつもりが40曲ほどになっており、苦労した…。一応10曲選定してみたものの、次選んだらその40曲の中からまた違う曲を選んでる可能性もあるだろうなぁ。思い出補正はなるべく省き、単純に曲としてすきな曲を今回は選んでみた。

■I・ZA・NA・I・ZU・KI

順位は決めないといった矢先だけど、一番すきな曲かもしれない。音楽的に、歌詞的に、世界観的に、そして歌のハーモニー的に、どれをとってもドストライク。WORLDISTAで初めて生で聴くことになり、ブワァッといろいろなものがこみ上げた記憶が今でも鮮明。

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 以前ブログに書いたけど、大昔に散ったいくつもの悲恋とその悲しい結末唯一知っている月の歌だと思ってる。

星をめざして

「一度死んで また生き返る そんな 魔法を かけられていた」という歌詞を、メンバー脱退後6人でリリースする初シングルの頭にセンターに歌わせるの、すごい。この曲からNEWSの曲に「NEWSというストーリー」が含まれるようになったように思う。

ただそういう物語性ありきですきなのではなく、単純に曲としてすき。一瞬の煌めきを閉じ込めたような曲。永遠じゃないからこそせつなくてきれい。そういう意味で、個人的にもうNEWSには似合わなくなってしまったなと思う。「みんないるかい」と問いかけなくとも、彼らは答えを知っているだろうから。そして今のNEWSは刹那的というよりも、もっと恒久的に見えるから。

Winter Moon

隠れめっちゃすきな曲。さくらガールもだけど、ピアノの曲がすきなんだ。「消えてしまうそうな はかない笑顔に ふたりの秩序が崩れ落ちてゆく」を歌うますださん最高では…。

言おうとしたこと、昔の自分が言ってた。

■Dance in the dark

「どうするの?どうしたい?」ウッ……………………。

これはもうことば(理性)ではなく本能じゃないですか?(放棄すな)

今のNEWSがやったら、会場中がなぎ倒されてしまう……。

■バタフライ

優しくて、あたたかくて、ホットミルクのような曲。「大丈夫 おやすみ、頑張ってる君が好き」という歌詞は魔法のようなフレーズ。この曲をライブで歌ってるときのメンバーの顔が愛に溢れていて、愛しくなる。

星の王子さま

再生回数がぶっちぎりて多いと思う。外的要因により人生で一番悔しくて落ち込んでいる時期、「世界が全て正解じゃない」という歌詞に何度も何度も救われたなぁ。

■U R not alone

NEWSの歌のパワーを最大限に引き出す曲。逆に今なにがすきとか説明するのが難しいね。この曲とともにいろいろなシーンを乗り越えてきたし、支えとなっていたし、そして、

我々のパートがあります。 

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 この楽曲を歌うNEWSは、世界一力強くて、世界一脆い。

AVALON

NEWSが歌う桜の曲はいつもせつない。さくらガールのせつなさとは少し違うのだけど。☆taku takahashiさんの手によってデジタルデジタルしたサウンドになっており、生の桜というよりは、バーチャルの桜を想起させる。

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AVALONは遠い未来に浮かぶ島。そこにはもう草木や花はなくなってしまっている。その島にたった1本咲いてるのが人の手でつくられた桜。これはいわゆる”データ”で、プログラミングされた実体のない桜。落ちてくる花びらには触れられないのです。

主人公はAVALONで彼らと夢の中で出会ったことがある。桜が舞う季節になると胸が苦しくなるんだけど、どうして涙があふれるのかはわからない————。

 と、ここで流れるのが「AVALON」です!!!たのしい……たのしすぎる…。「AVALON」だけで1冊書けるよ…。

■夜よ踊れ

最高の要素が全部詰まってる。

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■Champagne Gold

ここで入ってきたよ、ド新曲。夜よ踊れチームの新作です(すきに決まってるだろうが!)もうサウンドがすきなのよ。からだがゆらゆらする。めっちゃ聴いてる。

随所に加藤さんの中世的な高音が効いてて良い。ますださんの「甘いフレーバー」をはじめとする息多めのア行が良い。「普通の針じゃ物足りないでしょ?」はライブで死人がでます(予言)こやまさ… こやまさーーーん!!!!! 低音が響くので曲をパリッとさせていて良い。

 


すきなコンサート演出ベスト10

パッと浮かんだものから列挙していったものの、円盤を見ているうちにあれもこれもになってしまったのでこちらもかなり厳選した。

■SNOW EXPRESS→Winter Moon<WHITE>

すきな演出と聞いてすぐに思いついたのがこれ。WHITEというコンサート、「SNOW」を含む曲を黒い衣装を纏い、4本のスタンドマイクの外側に立ち、向き合って歌う。「お目覚め」以降頭上からの照明は落とされ、正面から照らす照明のみになると一時4人のシルエットだけが浮かび上がる。これがきれい。続いて流れるように始まる曲が冬の雰囲気そのままにWinter Moonというのがまた、類を見ない美しい曲の置き方。

■ESCORT<QUARTETTO>

加藤さんソロ演出全部すきですきでせめて一曲と思いつつ悩みまくったんだけど、ECCORT、あやめ、CACAO(2020ver.)まで絞り、ESCORTにした。まず、登場シーンからすきだから!!!メインステージ真ん中の去っていく小山さんをエスコートするようにドアを開けているのが加藤さんなんてさぁ… 最高だろぉ…(ライブ後の居酒屋テンション)曲間のつながりをこういう風に生かしてくるし、それ以降も物語を感じる演出が続くのでだいすき。荷物を載せて運ぶためのラックに乗り、上下に分かれているステージの下から上へ運ばれていく。扉の向こうにいる「誰か」に青いバラを渡し、「シーッ」と秘め事の向こうへ去っていく最後まで含めて転げまわるくらいすきだな…。

■NEVERLAND OP<NEVERLAND>

伝説のOP。初めて入ったジャニーズのコンサートのOPがこれでした。とんでもないでしょ。

汽笛とともにメインステージ中央から汽車が出てきたと思えば、円状にぐるっと形状を変え、センターステージがせり上がり、その真ん中からNEWSが登場。あの衣装で。刀、ステッキ、旗、松明それぞれを持ち、炎と水の中に佇んでいる姿を見て一気に世界観に没入する。作り上げたNEVERLANDのファンタジー世界をドデカいスケール感で迎えてくれる個人的歴代最強OP。

■Brightest Inter<NEVERLAND>

Jr.の動かし方に惚れ惚れするInter。加藤さんソロ「あやめ」で円状にひれ伏す形でステージに留まっていた真っ白な衣装の彼らがInterの訪れとともに立ち上がってゆらゆらと動き出す。Brightestに向かってセンターステージからメインステージまで隊列を成しながら踊り、進んでいく。音楽も演出も最高にオシャレでだいすき。曲間のつながりさえも逆手に取る。

■EPCOTIA OP<EPCOTIA>

囲われた円状のセンターステージが持ち上がり、現れたステージ中央に置かれたスペースシャトル、Aメロ、Bメロを歌う声だけが聴こえる。シャトルから出てくるものだとばかり思っていたのに、なんとその頭上に宙づりされる形で登場してくるという激ヤバ演出。EPCOTIAのテーマが宇宙だからだ。予想を何重にも裏切られたOP、驚きと興奮で血管がブチ切れそうになった。

AVALONの舞う桜<EPCOTIA>

青とピンクの照明で、全体に薄暗くミステリアスな雰囲気。大さびで桜の花びらがドバっと降ってきて、風に煽られ舞う桜の中で歌うというのがとてもすき。

ますだ担だけ振り付けがあると思っていた、あのパート(ますださんはすごい踊ってるけど、他メンバーはそうでないと後で教えてもらって知るのだった)

■タイムワープ<EPCOTIA ENCORE>

天才の発想? ソロ曲ゾーンの前に差し込まれ、「機長より業務連絡です。ただいまタイムワープの歪みが発生しました」「乗客の皆様、これから少し時間の進み方が変わるかもしれません。でも、安心してください。これも宇宙旅行の楽しみの一つです」というアナウンスがある。つまり「時空が歪んでしまったから過去のソロ曲が出てきてしまう」という演出。

■さくらガールのしだれ桜<WORLDISTA>

閉じられていたモニターが真ん中から分かれて、その向こうには満開のしだれ桜。生で見たときの万感が記憶に残っていて、なんというか、イメージにピッタリで相当良かった。

Digital Loveのゲーム画面<WORLDISTA>

ゲームのような曲をライブで再現するにあたり、バックモニターにドット絵でゲームの背景を描き、ゲーム仕立てにするという演出(イメージはスーファミ時代のマ〇オです)モニター前に立つNEWSがさながらゲームの登場人物である。これはライブだけでなく、なんとSONG OF TOKYOのステージでも再現されていたのだからこだわりを感じる。

■I・ZA・NA・I・ZU・KIの月と水<WORLDISTA>

演出部門の優勝演出。生まれ変わってもすきだと思う。

舞台は雨降る月夜。増田さんがワンフレーズ歌って水をはねさせる(このときの水と尻尾の軌跡がまた…… 美しいんだ……)と、それが起爆剤になったかのようにメンステと花道のつなぎ目に雨が降り注ぎ、水の壁が現れる。(この流れ落ち始めるタイミングが最高なんだわ、また!)  水はそこから花道を流れセンステへと流れ込む。「水が流れている?」始めは目を疑った。水の流れをプロジェクションマッピングたいに映してるのかと思ったけどそうじゃない。光の反射、跳ねるしぶき、あれは本物の水だ。水の上に4人は現れた。狐のような尻尾を携えたあの衣装を纏って。前回と全く違う演出。4人になる前の曲だけど、こんなに伸び代があったとは……、脱帽。今回は「I・ZA・NA・I・ZU・KI」という曲から連想される物語がそのまま演出によって表現されたように思う。

 「あの月に」でテゴマスのハーモニーが響く瞬間に照明が切り替わって、月光だけに照らされる影のようになるのもすき。

 


すきな衣装ベスト10

ますださん、NEWSに関するすきが多すぎて全然終わりません。

■QUARTETO OP絨毯衣装<QUARTETO>

重い布、軽い布、布が多くてだいすき。幾重に重なり合ってカルテットになる。OP曲である「QUARTETO」には、"跳ぶ"振付がある。その瞬間がこの衣装の真骨頂。一体を覆う重い布がはためき、翻る、一連の画が美しい。ただの舞台衣装ではなく、"コンサートで踊って見せたときにどう見えるか"まで計算されていた。

■「オープニング」(スパングルのマント)<NEVERLAND>

OP衣装は、そのコンサートの象徴。マントを羽織った軍服のような形状はNEVERLANDの世界観を含み、光の当たり方により輝きを増すスパングルの派手さはOP演出に負けない華やかさがある。襟の形、装飾の種類や数、ボタンの仕様、細かにそれぞれが違っている。

「この生地との出会いが、NEWSがいるネバーランドのインスピレーション源にもなりました」

(『装苑』2017年9月号 p.42)

■「ファーのパッチワーク」<NEVERLAND>

色、素材、柄、さまざま生地が同居するハデハデ衣装。とにかくハデですき。キルティング、メッシュ、ファー、単体で見るとオシャレに見えなそうな生地たちも、アイディアと組み合わせ次第でこんなに異彩を放つ一着となる。

■「迷彩」<NEVERLAND>

迷彩をステージ衣装にするのは何気に難しいのではと思ったりする。元々の由来が「カモフラージュすること」であり、現代においてもハレとケで言えばケの印象が強い。それがどうだろう、野暮ったさもお馴染み感もない。迷彩をスパングルで表現していることもあるし、刺繍やスタッズをつけたり、多種の迷彩を重ね合わせていることも、この衣装がステージで映える要因かもしれない。重なり合うスカートのデザインがほんとにかわいいし、動き回るたびにキラキラと輝いていてよかった。

■「赤スパン」<EPCOTIA>

「大好きなSMAPとエンターテイメントへの思いと愛を込めて作りました」

(『装苑』2018年9月号 p.33)

We are SMAP! 2010 CONCERT」で見た赤の衣装からインスピレーションを得て作られた衣装。赤という色味で作り得る強さを表現しているようだけど、これを着て歌う一曲目が「KINGDOM」でとってもよかった。「紅く燃ゆる太陽」も。

OP衣装の下に着ており、スポーティーな赤。全身ほぼ同色でありつつも、ポイントの黒やミックスされた素材でメリハリがついている。靴はツアー用に「NIKEiD」でカスタムされており、右足に「NEWS」、左足に「2018」の文字が。

■「ミラーマント」<EPCOTIA>

めっっっっっっっっちゃすき。

当てる照明によりいろいろな顔を見せてくれる鏡素材の衣装。服というより、シンプルに鏡を纏っているかのようにギラギラとしている。素材の強さとは裏腹に、マントが雪ん子みたいでかわいいなと思ってる。

EPCOTIAではLPS~NYAROで色が変わるリフターに乗りながら来ていたこの衣装。立っているリフターの色や外周しながら変わる景色とともに色が変わっていったのが印象的で、外周するのにこの衣装を選んだ理由がよくわかった。

■メンカラ衣装<15th Strawberry>

衣装を見ただけで鳥肌がたったのは、後にも先にもあの瞬間だけですね。

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■SPIRIT ジャージ衣装<EPCOTIA ENCORE>

ベースは既製品なのだけど、細部に神が宿っている衣装。シゲの衣装には「spirit」の文字とともに「1987.7.11」と誕生日を刻むなど、各衣装にますださん直筆の愛が張り付けられている。

細かすぎて、言われないと見てる側には伝わらないけれど、この仕掛けはそれをわかっててやっていて、なにより「着るメンバーの気分を上げる」ことを大事にしてるますださんらしいなと思った。

■「赤い馬」<WORLDISTA>

前から見ると一見シンプルでシックな赤ツイードの衣装。バックスタイルを見てビックリ、馬のしっぽがついている。ターンをしたときなど、動きに合わせて描く弧が美しい。

ラプンツェルからインスピレーションを得たという話を当時の〇〇で聞いたけど、いったいますださんの目から見る世界はどんな世界なんだろう?

■「黒い鳥」<WORLDISTA>

数えきれない黒のレースが基調となる、エアリーではためく布の動きがまるで羽のような美しい衣装。ターンから一歩遅れて付いてくるレースの余韻がすきで、この衣装を着て踊った2019年MUSIC DAYの「仮面舞踏会」、最後にピタッと動きを止めた全体の画の中でそのレースだけが舞っていてきれいだったなぁ。

 

 

これを書くために過去のコンサート映像をあれやこれや見ていたんだけど、

NEWSのコンサートがあまりにもすきすぎて、咽び泣いております〜〜〜。すきだ〜〜〜。最高だ〜〜〜。

すきを噛み締め、一層STORYがたのしみになりました。オチはない。

デジタルと五感の共生~「オルタネート」読了~

 3年前の冬、「チュベローズで待ってる」の感想を書いた。

このときも衝動でしたね。2020年の新刊「オルタネート」を読み終わり、居ても立ってもいられずPCに向かっています。

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まず一言目に「また最新作が一番おもしろい」、そして「まさに作家としての新章」という感想が。新潮社さんが「新章突入」とデカデカとポスターに刻んだ意味がよくわかる。避けていた恋愛を描写したり、映像を使う、特典をつけるなどの新しいプロモーションを取り入れたことなどわかりやすい部分以上に、表現において変化を感じる作品だったと思う。読後の爽やかさと、湧き上がったまま尾を引く感情が同居する、加藤さんの新しい作品だ。

STORY

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代。東京にある円明学園高校で、3人の若者の運命が、交錯する。調理部部長で品行方正、しかし、あるトラウマから人付き合いにコンプレックスを抱える蓉。母との軋轢を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネート信奉者の凪津。高校を中退し、かつてのバンド仲間の存在を求めて大阪から単身上京した尚志。出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、やがて訪れる「運命」の日。3人の未来が、人生が、加速する――。
悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。3年ぶり、渾身の新作長編。

www.shinchosha.co.jp

※以後、物語の展開、セリフの引用を含むネタバレがあります。

 

重なり合う3つの物語の相互作用

今作は1つの世界の中に3つの視点が存在し、導入部分は蓉、凪津、尚志、それぞれの目から見える景色から始まる。3人は最後まで接点のないまま終わるけど、文化祭という同じ場所で「運命の日」、この物語で見えるクライマックスを迎える。ただし同じ高校を起点に展開されているため、別パートで名前が出てきたり、同じ景色を見ていたりする。

しかし、別々の物語であるのに「これはあっちの話にも通ずることなのでは」というようなセリフ(例えばp.350蓉母の「「間に合うよ!」」という声援、前ページの桂田の「「わからないけど、ま、まだ間に合うかもしれないから」」のアンサーとも取れる)や描写もでてくる。これがおもしろい。内容が異なる3つの物語がバラバラに見えないのは、全体を通して表現したいことが一貫しているからだと思う。 

 

それぞれに感じたこと

ある理由からオルタネートを使うことを避けていた彼女が、前向きな理由からアカウント開設に至るまでに人として変化する話。おもしろいよね、この「起」と「結」が心情の変化を表現しているっていう。自分を傷つけた要因が、今度は世界を広げるための道具になる。

このパートではSNSや配信番組といったもののポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も色濃く描かれている。一番想像しやすい現実だと感じた。カップル動画で人気になることが目的になってしまっていて別れたカップルだとか、『ワンポーション』が今流行りのオーディション番組っぽく(パフォーマンスとも取れる厳しいコメントを言う審査員がいる)一般人に知名度があることによる弊害だとか、番組の話題作りのために利用される恋愛だとか。このへんはかなり時代を反映させているよね。

気になる相手の家に招かれてウィークエンドシトロンを作って持っていくのがかなりかわいかった。それは週末に大切な人と食べるためのレモンケーキ。お菓子に思いをこめる女子高校生のいじらしさ、思いつく加藤さんの頭を覗きたい。どの引き出しから持ってきているの!?

凪津

「個人情報そんなに提供して大丈夫か!?」と心配するほどオルタネートを妄信する彼女が、(蓉とは逆に)アプリをやめるまでに自分と向き合う決意をする話。何と言っても、この対比ですよ。蓉にとっては料理仲間を高め合えるツールとなったけど、凪津にとっては深層的に逃げる場所でしかなく、使う人によって形を変えるのSNSをうまく表現していると思った。

「データに裏打ちされたもの以外信用しない」の根っこには、感情的な行動による結果によって彼女が苦しんでいるという理由がある。途中で追加されたオルタネートの新機能である「ジーンマッチ」を使い、遺伝子情報から導かれたマッチング率の高い相手と出会ったものの、全く気が合わなかったことが彼女の固定概念が揺らいでいく。正しいのはデータか、自分の感覚か。結果として誤判定だったわけだけど、本質的に2人は似ていたよね。固定概念に囚われていることに気が付いた彼女が自分の在り方を変えようとデータから離れるわけだけど、このパートわたしにとっては少し複雑。マリーゴールドの伏線回収あたりとか、読み解きが足りない気がする。人の感想を聞きたい。

尚志

このパートはいろいろな要素を含んでいるけど、夢を取り戻す話、かな。

内面的には豊の方が変化したのかもしれない。医学部を目指すことを決め、本気でやってないように見えるバスケ部でも活躍してるのに、空っぽに見えたのは豊だった。夢も居場所もオルタネートもないのに、溢れる情熱があったのは尚志。高校を中退した彼は何も持っていないように見えて、持っている人。事実多方面から「俺は尚志がうらやましかったよ」「なんかよくない?」「きっと坂口くんはあなたがうらやましいんだよ」と語られる。これはなんだかすごくよかったな。SNSでの人気とか、社会的立場とか、そういうのじゃなく人を見てたよね。学生生活の描写はないけど、ぐちゃぐちゃに苦悩して、自分の生み出した幻影に囚われて、青臭くて、このパートも青春だと思った。

蓉と同じでオルタネートを使わずに時間を過ごした人だけど、2人において違うのは「使わない」という状況を選んだか、選んでないか。尚志の場合は高校を中退したことで、そもそも使う権利がなかったわけだから。

オルタネートが絡んでないから、なんなのか、2020年というよりは2000年台前半、まだチャットモンチーがインディーズバンドだった頃を思わせるノスタルジックな雰囲気がある。リアルタイムでその時代に邦ロック畑にいたわけではないので想像なのだけど。尚志が住んでいた『自鳴琴荘』も、オシャレなシェアハウスというよりは常盤荘のような、はちょっと言い過ぎだけど、一昔前の建屋をイメージして読んでた。という名前だしね。

ちなみにわたしが一番映像にしてほしいのはこのパート。映画『鬼火』を見る場面とか、河原でホルンを聴く場面とか。そしてなんといっても文化祭のステージ!尚志と豊のセッション!見たい!読みながら思い出したのは、映画化された坂道のアポロンでした。

 

題材選びの妙

大きなところで言うと「SNSマッチングアプリ」です。今や誰しもピンとくるアイテムだけど、俗っぽく描くのではなく、青春群像劇の真ん中に違和感なく置いていることがまず、すごい。

そしてそれ以外のところで言うと料理、植物、音楽など、デジタルと根本的な部分で相反する(と感じている)テーマ。指先一つでアクセスできる前者と、味や感触、匂い、生の音といった五感で感じたい後者。読み始めて驚いたよ、「あれ?もっとデジタルな話じゃなかったっけ?」と。土いじりから始まるからね。きっとこの小説の魅力というのはそこにもあり、これらの描写が豊かだからであると思う。ご飯がおいしそうなのもそうだし、音楽に関しては音色から演奏者の些細な仕草まで表現に余念がない。

そういえばチャイナシンバルというあまり一般的ではない名称が出てきたのは、なんとなく加藤さんらしい。

 

些細に散らばるメッセージ

物語の大筋とは少しズレたところにも、筆者の価値観が表れている部分がある。伝えることを意図しているわけではないかもしれないと思うほどさりげなく。

例えば、ブラックバイトと評判されていたリゾートバイトに応募したら、実態はそうではなかったという、ネットの口コミの信憑性のなさ。例えば、苗木3つのうち1つだけのために2つを取り除く間引き、「ひとつの植物を守るために不必要な存在を切り取るという選択」をいいと思うことの危うさ。

 

なぜ描ける、心情描写

先述のウィークエンドシトロンしかり、恋をした人にしか見られない景色が沢山あった。歳の離れた異性の視点が、これほどに鮮やかに描けるものなのか。

高校までやってきた三浦栄司と、大学近くのケヤキ下にあるベンチに並んで座ったときの蓉。早足で歩いたせいか心臓がどくどくしているのに、平然としている隣の彼を見て「男の子だなぁ」と思う。こんな些細なことから「男の子だなぁ」と思う気持ちがなぜわかるんだ、加藤さん……。

 

表現の美しさ、まるで詩

加藤さんといえば、わりと小難しい単語を使ったテクニカルな文章の印象が強かった。特に処女作の「ピンクとグレー」なんかを読むと、すらすら読める文章ではなく、わりとクセがある。彼の個性であるという良い意味でもあるし、読む人によってはそうでないかもしれない。

しかし今作はどうだ。驚いたことに、難しい漢字表記や、想像し難い比喩などはシゲアキ比少ないように感じた。それと引き換えに、柔らかいことばを使いながらも、思わず唸るような美しい表現が散見された。肩の力を抜きながら、新しい魅力を身につけていたのだ。まるで加藤シゲアキそのもののよう。わたしが思う「新章」の理由はこのあたり。

陽で赤く染まる三浦くんはまるで燃えているみたいだった。 (中略) 三浦くんが燃えている。燃えているのに、灰にならないで、ずっとそこにいる。 

うまく描こうと思ってこの文章は描けないと思うよ。感性の賜物。

 

例えのおもしろさ

アスベストアスベストという単語が出てくるシーンがある。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/topics/tp050729-1.html

取り付けるより、取り除く方が難しいと語った後、「一度始めてしまったらもう元通りにならないことはたくさんある。」と続く。

その例えにアスベストを使うんだ、と。この他にも、一見関係のない話が核に絡んでくることがある。意味のないモチーフは使われていない。かなりそういう傾向があるよね。だからすべての固有名詞が気になっちゃう。茶摘みとかさ。

 

 

章立てされて別れていた3人の視点が、終盤の文化祭でクルクル入れ替わるようにして交わっていく。感じていることも、居場所も違うのに、文化祭という同じプラットフォームで同じように汗を流す。物語が一つの光になるような感覚、それがとても気持ちよかった。

一夜に重なる夢と夢〜ミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』〜

オーケストラがチューニングをする音が聴こえる。知らなかった、生演奏なんだ。数分後、幕が上がる。ステージ上部から窓拭きをするフィンチを演じる増田さんが現れた。

「増田さんが、息をしている。ステージの上で」大げさでなくそう思った、あの呼吸を忘れそうな感覚は時間が経った今でも色褪せない。閉塞感と共存したモノクロの日々に色が灯るのを感じた。

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9月、シアターオーブ。増田さんにとって、夢の! 海外ミュージカル! 春からコロナが流行して自粛期間、多忙の夏を乗り越え、そして秋口の当日まで、ずっと「どうか幕が上がりますように」と祈り続け、ようやく迎えたその日だった。

とにかくエンターテイメントの力に心を揺さぶられて、終演後しばらくはなにも言えなかった。最初の音が鳴った瞬間に日常から切り離される感覚、肌で感じる迫力、音や熱のこもった空気に包まれる体験、そのすべてを最大限に感じさせてくれるキャストのパフォーマンス、それはまるで夢のようで。「現場に足を運ぶ」ということの意味、奪われて、返されて、改めてその本質を知ることになったような気がした。

 

あらすじ
主人公のフィンチはビルの窓拭き清掃員。「努力しないで成功する方法」という本を読んだことから「出世したい」と意識するようになり、本の教えの通りに行動することでトントン拍子に出世していく。利己的でずる賢くもありながら、どこか憎めない人柄で大企業ワールドワイド・ウィケット社の社長・ビグリーや社員達をうまく絡めとり、上り詰めた先にはーー。

 

How To Succeed in Business Without Really Tlying(努力しないで出世する方法)

イントロからめちゃくちゃワクワクする! エネルギッシュでテンポ感の良い舞台を象徴するようなオープニングナンバー!窓拭きのリフターが上の階から下の階に降りてくるように、上から登場。手には本。黄色のつなぎ。

〇〇でも登場した「僕はできる」というのはここで発することば。虚勢でも薄っぺらくもない、自信と余裕を含ませながらも愛らしい笑顔とこのことばはフィンチにも、増田さんにもピッタリ。久しぶりに聴いた声と姿に初っ端からジーンとした。

Happy To Keep His Dinner Warm(幸せな奥様)

WWW社に忍び込んだフィンチとローズマリーが出会い、彼女はたちまち彼のことをすきになる。そして結婚して幸せになる夢を語る。パンフレットから訳を持ってきてるんだけど、暖かい晩御飯を用意することが幸せな奥様像というのがおもしろいなぁと思った。パンフレットで振付師のクリス・ベイリーはその在り方を「現代では性差別だととらえられますよね」と言っていて、それに対して「でも今の日本でもローズマリーように考える人もいますし、僕はそれもひとつの考え方だと思います」と返してた。個人的にたしかにベイリーの言う通りであると同時に、逆にローズマリーのような思考の人が肩身が狭くなってるのではと思うようなこともあり、増田さんのその考え方は優しくてすきだった!(ベイリーもその後アメリカでもそうです」とその部分には同意をしている) 

Coffee Break(コーヒーブレイク)

フィンチが出てないのに、一幕で一番すきな場面!ここで言いたいのはひたすらに「コーヒーがないとやってられん!!! 飲みたい!!!」なんだけど、そんなに飲みたいんか!?!?(笑)驚くべきコーヒーへの熱情。それだけで一曲あるの、おもしろい。

コミカルな場面ではあるけど、途中から開いた口が塞がらなかった…… こんなに踊りが激しい舞台は初めて見た! センターに置かれたコーヒーマシンを囲むようにしながら、肩車状態から前身に移動したり、床に転がる秘書の足を引っ張って移動させたり、縦横無尽に動き回る秘書ズの柔軟さと男性社員のパワーにビックリする動きの多いダンスが印象的。

The Company Way(会社の望むまま)

まずは郵便室に配属されたフィンチ。配達物を後ろの棚に入れたり、ハンコを押したり、すべての動作がコミカルでかわいくなるのでミュージカルはステキ〜〜〜!トゥインブルとフィンチの掛け合いがたまらない!考えてみると年上男性とのデュエットもなかなか見ないので、新鮮だった。よかった。

ここで社長の甥というコネで入社したバドと出会う。バドが終始めちゃくちゃいいキャラで視線泥棒だった……! 全身からボンボン・ウザおぼっちゃま感が出ていて、一周回って愛すべきアホの子。フィンチだけでなく、彼も物語を通して変化する。バド視点のスピンオフストーリーがほしい〜〜〜!

A Secretary Is Not A Toy(秘書はオモチャじゃない)

タイトル通りの主張。秘書ズがパワフルですきでした。秘書という一見補佐に見える役割は全部女性が担っているものの、ただの添え物ではなく、自分の意思で物事を切り開いていく強さを持つ、そういった女性像がここで見えた。1960年代のアメリカ、どんな人たちが生き、仕事をしていたのか、そんなことに思いを馳せながら。全く違う時代を生きた存在をなんとなく身近に感じられる舞台だったなぁと思う。

Been A Long Day(長い一日)

仕事が終わり、帰りのエレベーターの中。エレベーターのセットがあり、開閉するドアを背にしたアングルからカゴの中を覗いてる構図。脈があるのかないのか自分もよくわかっていないようなフィンチ、ガンガンにアプローチするローズマリー、2人の仲を取り持ってくれようとするスミティ、3人の掛け合い。

観客に社長・ビグリーと新しく採用された秘書・ヘディ・ラ・ルーの関係性が匂わされるのはこのあたりだったかな? 2人の会話中に通りかかるバドにバレないよう、真面目な話をしているフリをする。

Grand Old lvy(我がオールド・アイビー)

休日出勤(をして仕事に精を出している風に見せかけている最)中のフィンチ。机で変な顔(白目までしてたっけ…… うろ覚え……)しながら寝たフリをしてた。たしかここでジャケット脱いでるんだけど、羽織がないと露骨にガッカリしたからだが見えて、ヒーヒーしたよ……。真横から見るとほんとに厚みがすごい……。締まりすぎてないあたりが余計に(みなまで言わない)

たまたまやってきたビグリーと出身校が同じフリをし、「アナグマ!」(近隣大学同士の愛称のようなものとでもいいましょうか?)と意気揚々にデュエット。ここも何気に運動量が多く、ビグリー役の今井さんも「これ、見た目よりキツイですよ〜!!」と。たしかに、かなり息を切らしてた!(笑)アメフトのモーションをする増田さんがなんだか新鮮でおもしろかった記憶。

Paris Original(パリ・オリジナル)

会社でのパーティー、とっておきのドレスをオーダーメイドしてウキウキのローズマリーだけど、なんとなんとやってくる女性陣次から次へと同じドレス! 最後のヘディまでまるっと全員リボン付ゴールドのドレス、まさか…… そんなこと!(笑)

衣装は全体的にとってもかわいいかったなぁ〜。フィンチはグレー、ローズマリーはピンク、スミティは青など人物ごとにテーマカラーがあり、視覚的にも人を把握しやすくて、舞台ならではの演出なのかなと思った。物語を経るにつれて同じカラーをベースに衣装が変化していくんだけど、例えばフィンチならどんどん良さげなスーツになっていくという。数時間の舞台の中での時間経過の表現として、衣装をそういう風に使うんだと感動した。

Finch Is In Love(恋に落ちたフィンチ)

さてフィンチ、パーティーの宵、バドの企みにより社長室でヘディと二人きり。あろうことかヘディからキスを要求され、あっさり軽くキス……!!!(事前情報をいれてなかったので、驚いたには驚いた) 「この男、出世以外眼中にないのでは」と思わせる瞬間でもあったけれど、そこでまさかローズマリーへの恋心に気づくだなんて、予想外! 他の女性とキスをして、「あれ、この人ではない」と思うことで、逆説的にローズマリーへの想いを自覚するわけですね。

Rosemary(ローズマリー)

Finale Act One(1幕フィナーレ)

フィンチとローズマリーの想いが通じ合って、ハートマークが飛び交っているのが目に見えるようなピンク色の空間。「ローーーズマリーーー」めちゃくちゃローズマリーの名前を呼ぶ。ここのある種のクライマックス感はすごかった、2人において一つの山場だもんね。リズムとるのが難しそうな歌。低音と高音のハーモニー。

ちなみにフィンチ、明らかに自覚前とローズマリーを見る目が違って、ドキッとした……。まさに付き合いたての2人のように、すーーーごい甘い表情をしていたわけです……。

 

Cinderella, Darling(シンデレラ、諦めないで)

Happy To Keep His Dinner Warm(Reprise)(幸せな奥様)(リプリーズ)

さてさて、一人部屋を用意されるほどに出世していくフィンチ。秘書に命じられたローズマリーは、「秘書という関係性だと結婚できない」と何度も仕事を辞めようとする。そんなローズマリーに対して「結婚することはもう決まってることだろう?」と確定事項として伝える台詞があって、それが言い方含めてとんでもなく男らしくて最高でした……。自信のある男……。

Love From A Heart of Gold(愛の宝物)

ビグリーとヘディの場面。どんな顔して見てたらいいかわからない場面ナンバーワンだった……(社長と愛人のラブシーンなので……) 与えてもらった秘書の仕事辞めて遠くへ行きたいヘディ、手放したくないビグリー。

Gotta Stop That Man(あいつを止めないと)

I Believe In You(君を信じてる) 

順風満帆にエリート街道まっしぐらのフィンチをよく思わない男性社員。これまでとはガラッと雰囲気が変わり、だんだん暗雲が立ち込めてきた。

このあたりでフィンチ対男性社員複数人の掛け合いがあった(と思う)んだけど、声量や声の強さが一人でも負けていなくて度肝を抜かれたな〜。増田さんってあたたかくて丸い、なんとなく「迫力」からは遠い歌声のように思っていたけど、ここでは周りをのみこむような強さがあったように感じた。低音がこんなに響くなんて知らなかった、とはこの舞台を通して何度も思ったこと。

人がすぐに入れ替わる宣伝部長というポジションに就いたフィンチは企画を練ることに。なかなか思いつかない中、バドが持ち込んだ宝探し番組をアレンジし、会社の株を景品にすることを思いつく。宝探し自体は元々バドが社長に提案し却下された企画だったが、うまいことプレゼンをし、番組放送までこぎつける。

プレゼンの前だったかな、洗面台で自分を鼓舞する姿、孤独でプライド高いエリートマンの顔は全編通して上位に入るカッコ良さ。

Pirate Dance(海賊ダンス)

I Believe In You(Reprise)(君を信じてる)(リプリーズ)

しかし手を組んだお宝ガール(番組の賑やかしポジション)・ヘディがお宝のありかを暴露してしまい、企画は大失敗(ちなみにその情報は社長がバラしてしまっていたのだった……) 「この企画がヤラセでないと、キリストに誓える?」と司会者にけしかけられて嘘をつけなかったヘディを見て、クリスチャンなんだ〜と思った。この時代のアメリカの(もちろん一部ではあるけれど)思想観がナチュラルに垣間見える。 

失敗した責任を問われるフィンチ、ここで本からのアドバイスは「最初に戻ること」。つまり窓拭き。その場を去りかけたフィンチは会社に見つかり、憔悴しきったまま重役会議で裁かれそうになる。

ここでなんと、元々窓拭きだった会長に気に入られる。「ピカーーーン!(ひらめき顔)」発動!!! 毎回毎回いい表情なんだけど、どうにも説明がつかない! う〜ん、しいて言うならいいボケを思いついたときの顔?(笑)

Brotherhood Of Man(世界は一つ)

フィナーレ前のクライマックス、パフォーマンスのすごさが頭に残り、ここまでどういう流れだったか記憶が曖昧なんだけど……「人類みな兄弟だ〜! 」とその場にいたジョーンズ+男性キャスト勢で歌い踊り始める。

とにかくここです。一番の見せ場。すごかった。今までの山も谷も全部ここのためにあったんだと思うほどの熱量。ターンひとつをとっても普段の「魅せる」とは少し違い、気迫を感じる動きではあったけど、全体的な踊りの仕草にはジャニーズプライドが滲んでいて、フィンチだけど増田さんだった。すきだったのは、手をからだに這わせるような振付!息を吐く間もなく舞台上から飛び込んでくる音と映像と熱量、圧倒的な情報量に飲み込まれる観覚が忘れられません。

Finale(フィナーレ)

Bows(カーテンコール)

前髪を分けて出てきてひっくり返りそうになったのは、ここでしたか……!?

内心悲鳴あげてたくらいなので、記憶が定かではない……。おろしていた前髪を分けて、これまでのファンチとは違う印象で登場。スーツでそのヘアスタイルはさらにめちゃくちゃカッコいいので、心臓に悪いです。

最終的にフィンチは会長に就任。会長はなんとヘディと結婚し、新婚旅行へ……。ローズマリーとの結婚も無事叶い、「努力しないで出世する」を完遂したところで物語は終わる。しかし上には上がいる。まだまだファンチは上り詰めるチャンスを逃さないだろう、という締め。

 

フィンチ、野心家で小賢しくて出世のためなら周りも顧みない、ともすればただの「嫌なヤツ」にも見えかねないのに、増田さんから滲み出るチャーミングさによって「憎めないヤツ」に見えていたの、すごい。

てる部分はありつつ、やっぱり最初から最後までフィンチという役に乗り移っていたように思う。カーテンコールで初めて"増田さん"を見て、胸がギュッとした。途中「増田さんの舞台だから」がきっかけで観にきたことも忘れるほど(!)すごくおもしろいミュージカルだったし、増田さん自身も手応えがあったんだと思う。晴々と、堂々と、それでいて主張の強くない余裕さを感じさせる佇まいで客席に顔を見せてくれた。背伸びなど感じさせない、ありのままで夢の海外ミュージカルを乗り切ったのだと解り、その大きい背中をぼーっと眺めてた。

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無事に幕が上がったこと、キャストや観客が健康なまま最後まで走り切り、大千穐楽のその日に幕を下ろせたこと、特に今年においては全部あたりまえではなかった。だからこそ全公演終えられたことがまずとにかくうれしい。奇跡のようだけど、わたしは舞台にかける愛が運んできてくれた結果だと思う。実現してくれた座長を始めとしたキャスト・製作陣の方々の努力を想像するだけで感謝の気持ちでいっぱいになる。

前回の現場から231日、決まっていたライブのチケットも全て払い戻しが終わり、さらに仕事が忙しく余裕のない日々を送っていたタイミングでこの舞台。訪れたその場所、目の前に広がる光景はまるで夢のようで。うん、今思い返しても夢だったんじゃないかと思うほどに、鬱々としていた日常を忘れさせてくれる最高のエンターテイメントを体験をさせてもらった。満員の客席から拍手を送ることはできなかったけど、ライブができない日々を経た後だからこそ、目の前に観客がいることがあなたの心を少しでも潤していれば冥利に尽きます。

 

夢を叶えてくれてありがとう。夢を見せてくれてありがとう。これから先もずっとたのしみです。

松倉海斗という小宇宙〜Summer Paradise 2020〜

うっかり宇宙旅行に行ってきました。

 

この夏Jr.により繰り広げられているSummer Paradise。先日セトリにPumpkinが入っているのを見てまんまとうみんちゅの公演を見たばかり。そう、ちょっとの興味と時間さえあればライブを見れてしまうのが配信ライブの利点であり、罠とも言える。その時点で「公演時間に家にいる8月8日(松倉回)と10日(宮近回)は気をつけなければ……」と思った矢先のことだった。

〜30分後〜

松倉さんの歌に出会ったのは去年の5月。ジャニーズ IsLAND Festivalで披露された雪白の月。以前からトラジャ担の友人からいろいろと話は聞いていたけれど、そもそもJr.に興味を持ち出したのが去年の頭、当時からダンスのイメージが強かったトラジャにこんな風に歌う人がいるんだと驚いた記憶。

というわけでわたしは軽い気持ちで踏み出した先で、その宇宙に引き摺り込まれることになる。

 

松倉さんは今回のソロコンについてこう話している。

8月8日担当させていただきます松倉です。僕は全編通してちょっと作品にしたいなと思っておりまして、ストーリー性とかメッセージ性のあるライブにしたいなと思っているので、まあライブですけど、ちょっと映画みたいに見てもらえたら嬉しいなって思います。

ラブストーリーとかじゃないです。深く言いますと、あ、深く言うとネタバレになっちゃったらダメだけど(こける仕草をする吉澤さん)、僕らの目指す夢っていうのが海外進出とかそういうのをでっかく掲げているので、その道中というか、そういうものをセリフじゃなくて、ちょっと表現で表したいなって思います。

ライブというより、たしかになんとなく映画やミュージカル舞台に近いものを感じた。ほぼ間違いなく、伝えたいことのために曲を選んでいるし、それがすごくわかりやすく歌詞から伝わる。彼の描いたストーリー‪とはなんだったのか、わたしにはこう見えたという話をする。

 

宣誓(現実)

LIFE〜目の前の向こうへ〜(関ジャ二∞)
自分のために(TOKIO)

OPから2曲はスタンドマイクの前に立ち一人で歌った。特出した演出はなく、歌のみで魅せる。このパートは起承転結の「起」であるし、「結」につながる部分があると思う。

 

一晩のショー(夢)

夢のHollywood(Travis Japan)
Secret Code(KinKi Kids)
Street blues(関ジャ二∞)
pure(松倉海斗)

モニターに映された文字とどこからか聞こえる「お前の夢はなんだ?」「なぜ(その夢なのか?)」という問いかけから始まる「いつか僕らは夢の舞台で輝くんだ」をスイッチにして始まるのが夢ハリ。夢の舞台であるハリウッドで歌い踊るワンシーン。

夢ハリからつながるSecret Code〜Street bluesで印象的だったのが、手の振付。「秒針」で時計の針、「今夜はこのまま腕の中」で色っぽく腕の中に収める、「時計を外した」で手首から何かをふわっと外す。なんとなく、振付ではなく本人のオリジナルでやってる部分もあるんだろうなぁと感じる。彼のダンスは音ハメが気持ちいいんだけど、今回のライブの中では普段いうところの音ハメ(ガシガシ踊るダンスで音と点を合わせる)とは少し違った。流れるようなダンスの中で音と動きがリンクする瞬間がたくさんあって、それが気持ちよかった。あれはきっと感覚的にやっている。

あとあれ、ベビーフェイスなのにパフォーマンス中の色気がすごい(途中でジャケットを脱いで腕まくりをし出したのには、素直に悲鳴を上げた……)

 

苦悩(現実)

Panic Disorder(堂本剛)

曲中も含めてダンスで表現される苦悩、挫折がヒシヒシと胸にくる。炎の中かと見間違える赤(〜オレンジ)の照明に照らされたステージでPanic Disorderを踊り狂い、曲の最後はステージ上に落ちるスパッとの下にぶっ倒れる演出、よかったな……。画面越しに伝わる気迫に沈黙。

 

夏の幻影(夢)

NEVERLAND(NEWS)【少年忍者】
パラダイス銀河(光GENJI)
ジェットコースター・ロマンス(KinKi Kids)
Ho! サマー(タッキー&翼)
Kis-My-Calling(Kis-My-Ft2)

さて、ここからをどう捉えたら……?

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わからない。さっきまでガチガチにストーリー仕立てのライブを展開していたとは思えない突然のトンチキ松倉ワールド。どういうこと……?(リアルタイムでもめちゃくちゃ困惑したw) サマパラのサマパラである部分を圧縮した夢の中なのではと思うことにした(暴論) NEVERLANDで夢の国に誘われ(少年忍者がバキバキに踊っててビックリ!!!!!)、「夏といえばローラー!」という概念に取り憑かれ、アロハシャツで夏をエンジョイし、MCでは通信障害芸(突然静止した後「うそぴょ〜〜〜ん」)→謎にステージの端から端まで側転、最終的にはトラジャ(お面の姿)も出てきた。意味が分からなくてお腹を抱えて笑っていたのに、いつのまにか超たのしくなってたので松倉さんはすごい。そして変な人。ツボ。

 

自分の話(現実)

秘密(二宮和也)
手と手(松倉海斗)
街(堂本剛)

秘密は自分が初めて歌ったニノのソロ曲(ニノに憧れたことがジャニーズ入所のキッカケ)、手と手は自粛期間中に作った曲、街は落ち込んだ時や自分を見失ったときの心の指針にしている剛くんのソロ曲。

『手と手』って言うんですけど、僕のお家時間で作らさせてもらった曲です。それは本編のストーリーとは全く違う番外編で。

先述のインタビューでこう話していたので、やはりこのパートは大筋とは若干違う位置にある。

街がすごくよかったんだけど、歌い慣れたようなその曲を聴きながら、街と共に越えた夜がいくつもあったんだろうなって考えてた。

 

決意表明(現実)‬

Time(KinKi Kids)

Finally Over(A.B.C-Z)
星をめざして(NEWS)

時計の映像が歪んで始まったのがTime。彼の声とこの曲のキー・雰囲気があってて、ゾクゾクした。さっきまでとはまるで違う場所にいるよう。切ないストリングスの音がクライマックスが近いことを気づかせる。続くFinally Over。またこれがめちゃくちゃカッコいい。バックJr.である少年忍者との掛け合いがすさまじかった。引き寄せたり突き放したり一身となったり対峙したり、まるで6人グループのように組み合いながら動いていて驚いた。そしてこの人さ〜、すごい目をしながら歌うね。何度も刺された。

ここで明かされるのが冒頭から語りかけていたストーリーテラーの正体。「彼らなら乗り越えることができる」と言い切れた理由、それは「私ストーリーテラーは未来の僕だから」「未来の僕だから」から松倉さんの地声が重なって、「僕ら7人は夢の舞台で輝いている」。自信たっぷりにそう語る未来の松倉さんのことばの力強さにゾクゾクした。

そして先程までの重厚な音の先に訪れたのは静寂。星をめざしてだった。衣装は白いタキシード。歌い出した瞬間、ここでわけもわからず泣いてしまった。単純にこの曲がすきだということもあるんだけど、なんだろうなぁ。様々な感情の先に行き着いたのがここだということにグッときてしまったというか。こんなに効果的にセトリに入れられたこの曲を見たことない。あの場所で新しく息をしていた。すごくよかった、ありがとうねぇ、松倉さん。揺れるペンライトの海がまるで夜空のようだった。

一見バラバラの3曲、歌詞が出ていなかったら共通点に気がつかなかったかもしれない。「臆病で閉ざされた心は、世界は、今解けていくよ」「ここから 始まりの時 動き出す Restart 舞うよ 歪んだ空を 変えてゆく この手で...」「目覚めたら 君がいて 光みちていた ぼくは生まれ変わった」止まっていた時間がまた動き出す、自分の手で動かし始める、そういった3曲なのだ。これはほんとに外野の憶測で申し訳ないんだけど、最後のMCで「(一年前の8.8を)塗り替えるっていうよりは、思い出を更新する」(意訳)と言っていて、きっとそういう意味なんだなと。ソロコンを任された2020年の夏から、また未来に向かって力強く駆けようとしているのが痛いほど伝わってきた。8月8日が彼の日だったことに強烈な運命を感じてしまう。いつのまにかそれほどに引き込まれていたわけで。

 

エンドロール(現実)

エナジーソング〜絶好調超!!!!〜(嵐)
SUMMER PARADISE(ジャニーズJr.)

最後のMC前2曲、この短編映画のエンドロールのようだった。映画の終わりが星をめざして、そこからパッと切り替わって明るい曲。エモさを終盤まで引きずらない作り方がすきだった……。たぶん松倉さんがそういう人なんだろうな。

映画を見終わった後、「あ〜、おもしろかったな」と思いながらぼーっとしながら現実に引き戻される瞬間と似ていて、松倉海斗という小宇宙の旅からジャニーズのアイドル・松倉海斗のライブに戻ってきたような感覚がした。

 

クライマックス(現実)

Together Now(Travis Japan)

エンドロールが終わって、最後に少し映像がある映画ってあるじゃない? Together Nowはその位置づけに見えた。サマパララで終わってもライブとしては成り立つんだけど、あるかないかで印象はガラッと変わる「いま幕が降りて 今日が終わる」という歌詞で始まる曲。終わってしまうんだなぁと名残惜しく見ていて、うちわが映るモニターをじっと見てから歩き出す姿や6人がステージに現れた景色があまりにきれいで胸がギュッとした。

 

メッセージとして伝わってきたのは「決意」と「確信」。ここからまたTravisJapanというグループとして走っていくんだなと。全編通して見てなんだかとんでもないものを見てしまったというか、公演後の疲労感が配信ライブとは思えないソレで、完全に現場後のテンション。居酒屋で「あそこはあぁだった」「あれはどういう解釈?」という話をしたくなる夜でした。

振りの付け方とかステージ構成とかもそうだけど、なにより表情の大きさ、魅せ方が舞台で育ってきた人なんだなぁと何度も感じた。また松倉さんの作るステージが見たい。

7月4日に添える、2468字インタビュー

ーこんばんは。7月4日、今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

ーそれでは早速ですが、ジャニーズファンの間で言う「担当」について、お話を伺います。

はい。担当、担当かぁ。難しいですよね、担当の概念って。きっとそれぞれに担当に寄せる思いがあるとは思うんですけど、わたしにとってそれを冠することができるのは、4人組のグループの中でメンバーカラーが黄色とされている人です。

ーそうですよね、一言に担当と言っても、そこに含まれる意味というのはひとりひとり異なりますよね。その人のどこがすきなんでしょうか。

以前、はてなブログに綴ったことがあります。 

初めてジャニーズのライブに行ってからたったの1ヶ月後に書いたブログなので、目に余る部分もあるのはご愛嬌ということで。この記事を久しぶりに読んでビックリしたんですけど、当時とあまり気持ちが変わっていなくて(笑)笑っちゃうんですけど、それってその人が現状維持のために努力をし続けていたからだと思います。すきになってから初めて迎えた誕生日に書いたブログ、3年前の記事に共感できるというのは当たり前のことではなく、その人が進み続けた証。現状維持は前進からしか生まれないんです。

ただ、ベースとなる魅力は変わらずとも、それぞれのストロングポイントはもっともっと印象深くなり、どんどん眩しくなります。

例えば歌声一つとっても、彼の歌は化けた。ことにターニングポイントだったのは、U R not aloneだったと思います。あの歌は彼にとって特別だなぁと。初めてライブで聴いたときもセンセーショナルではあったけれど、グループ内で過ごす時間を重ねるたび、その声に乗る思いは強くなったように見えました。ストーリーテラーだと感じていた彼は、いつのまにか彼自信の歌を歌うようになって、こちらも受け止めるのにいっぱいいっぱいになります。その真骨頂が優しさと愛しさを詰め込んだ戀という曲。暗くて霧の深い夜、月を見上げながら聴いたその曲に、わたしはどうしようもなく励まされました。静かでいて確かに感触を感じるほどあたたかく、雷に感じていたような儚さなんていうのはもう感じなくなりましたね。歌から人の変化を感じるなんて、どれだけの思いがそこにこめられているんでしょう。

歌声だけに留まらず、アイドルとしてのすべて、ドラマでの演技の幅、見せてくれる表情、バラエティでの振る舞い、仕事への姿勢、an・anで見せてくれた…… はい。全てが底上げされた数年のように見えています。ひとつひとつ大切に積み重ねてきた結果がこんなに美しいというのは、やっぱり眩しくて、そして憧れます。もちろん結果が全てではないですけど、積み重ねてきた時間を見させてもらってきた身としては、彼がじっくり取り組んできた先がこうであるというのは、希望です。ひとつひとつの物事に対して誠実であることが未来の自分を作ることにつながるのだと教えてもらいました。

ブログの内容で語っている31個に加えるとすれば、変わらないことで変わる強さがすきなんだと思います。上手く言えないけれど。

強さ、から少し離れた部分で言うと、「愛情深い」とツイートされていましたが、

そう感じることは度々あったのでしょうか。

ありました。そして年々感じる機会は増えているように思います。これはわたしの感覚ですが。最たるものとしては、やっぱり衣装。そして紡がれることばの端々、でしょうか。

衣装。グループの衣装プロデュースは彼が行っています。コンサートのその一瞬のために用意する衣装。着る人が映えるように考え抜かれた、その人のためだけの衣装。ここ数年で1番度肝を抜かれたのは、やっぱりあの夏のメンバーカラーの衣装ですかね。

その瞬間のこと、今でも鮮明に思い出せます。服というものにあそこまで心を動かされたのは初めてでした。きっと見た目の美しさ以上に、そこにこめられた愛が伝わってきたからです。余白を語らない彼が作った衣装はあまりに雄弁。そのバランスがいいんでしょうね。

ーあとは、ことば、ですか。

ことば。ことばの使い手というと、語彙力だとか文章の構成力だとか、そういう能力に長けているイメージでした。できれば詳細に、しかしその人の瞳に映る景色の美しさを損なわない表現こそが最上だと。でも、難しい単語を使わないのに、魔法みたいなことばを振りまいてくれる人に出会いました。見透かしたような、それでいてこちらの心に土足で上がり込んだりしない。ふわっと、ただそこにある。人に上がり込まれることが気持ちいいこともあるし、自分だけで考え込みたいときもある。どちらもすきだけど、後者をくれる人は多くない。絶妙なラインにいてくれるのは、一重に彼の優しさだと思います。一歩引くことの方がずっと難しいから。

ーありがとうございました。それでは最後に、その人に今メッセージを送るとしたら、なにを伝えますか。

増田さん、34歳のお誕生日おめでとうございます。そしていつもキラキラのSUPER STARでいてくれてありがとう。まずこれからの1年、ありったけの幸せが降り注ぎますように。あなたがステージに立つ日、たのしみにしています。

 

後日談

もしもし。すみません、ひとつだけ言い間違えていたことがありまして。冒頭で申し上げたグループの人数。4人組ではなく3人組でした。はい、つい癖で。なかなかすぐには抜けないですね。

彼らが歌わない意味、わたしが歌う意味

SmileUpProjectの一環として行われている「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」。NEWSの出演は今日、3日目。

昨晩、急にこわくなった。なにかが。ずっと整理しないまま放っておいた部分があったけど、それと対峙しなければいけない。欠けた歌にわたしはなにを思うんだろう。

迎えた当日、出演時間までしばらく心臓が痛かった。違う、ライブの前はいつもこうなんだって。具合悪くなるタイプだから。通常運転。

 

始まった。イントロが流れる。「希望~Yell~ 」だと思ってた。今思えば宣伝動画の刷り込みもあったのかもしれない。あの動画に映ってたのは間違いなく「君に幸あれ」の振付で、「あぁ、とんだミスリードをさせてくれたな」と。

 

3人が別々の場所に分かれて立ち、増田さんが歌い始めたのは「クローバー」だった。

 

「クローバー」は最新アルバム『STORY』でメンバーが作詞作曲を手掛けた楽曲。過去の曲のサンプリングの上に、メンバーそれぞれが書いた詞を乗せ、そのパートをソロで歌いながら繋いでいくという構成。ファンにとっても歌う姿を見るのは初めてのこと。

増田さんが形にしたその愛を聴いて、1曲目から声をあげて泣いた。なにかを思ったわけでもなく、反射で。堰を切ったように、ダムの決壊は止まらない。加藤さん、小山さん、そして彼へバトンが渡されることをわたしたちは知っていた。心臓の音がうるさい。このときはまだ「全部3人で歌うのかな」と思っていた。小山さんが自分のパートを歌い終わる。どうなるの。誰が、どう、歌うの。

本当は歌があったその場所には、なにもなかった。彼以外の歌声も、歌詞のテロップも。3人が流れ続ける音を背にスタンドから降りてくる。きっと、この曲を知らない人から見たら、間奏だった。でも、知ってる、ここを歌えるただ一人の人を。聴こえる、あの声が。

あの日 僕ら偶然出会い
まぶしい 毎日が始まり
ひとり 僕じゃ全然できない事ばかりだったけど

希望をくれた君へ
心を込めて
感謝の Yell を

いないはずなのに聴こえたその声を通り過ぎた。そのまま通り過ぎるのかと思ったら、3人は声を合わせた。

ずっと同じ景色見てきたね

君がいるから幸せ
幾千の悲しみや別れ乗り越えて
永遠に君に幸あれ

元々はファンに向けられた曲。でも、今日だけはファンだけに向けた歌詞じゃなかったと思っていい? 

 

呆然としている間に続くおなじみの「weeeek」も、感情がすり切れるような「エンドレス・サマー」も、去年のソロも、今年のソロも、全部、全部、NEWSで、よかった。「だいすきだ、諦めたくない」そうずっとずっと思いながら見てた。映画のエンドロールにはまだ早い。なにがあっても、NEWSは変わらずNEWSだ。弱っていたのは彼らじゃない、自分の心だと気付かされた。

 

永遠に続くような気がしても、終わりは来る。そのときになにを選ぶのか、わたしはずっと前から知っていた。絶対に「U R not alone」を歌う。確信めいた、でもなく、確信だった。その答えを教えてくれたのは、NEWSと自分が過ごした時間だったと思う。この楽曲を歌うNEWSは、世界一力強くて、世界一脆い。

「U R not aloneーーー!!!!!」そう叫ぶ増田さんの声で、横浜アリーナに呼びつけられた。感覚的な話すぎるんだけど、なぜかわたしはそこにいた。続いて映し出された小山さんも、加藤さんも、「会場」を見ていて、「声」を聞いていた。何回も見た、その姿。いつもと同じなのに、彼がいないことだけが違った。

あの日つまずいて
しゃがみこんでしまうほどの痛みさえ

マイクを通さずに歌うコヤシゲ、2人の間で口を閉じたまま笑いもしない増田さん。動揺した。苦しい。たとえそのパートが永遠に続いたとしても、増田さんは歌わないような気がした。増田さんにとって、唯一無二の、その声の、代わりなんてきっとやらない。

ああどうか 力を貸してくれないか
昨日までの僕よ 共に乗り越えてきたじゃないか
僕は誓うよ 一切引かないし 一切負けない
生まれた日から今日までの 僕が見てる
明日もそう
少しずつ前へ not alone

正直に言うと、今までのライブでさえここまで泣きながら歌ったことがないっていうくらい、嗚咽と下手くそな歌声は部屋に鳴った。一人暮らしをしているわたしの声は、誰にも届かないのに。なんのためでもなかった。ただ、歌いたかった。だから歌った。

 

彼の代わりをするようなことはしなかった。空いている場所は空いたままだった。それが3人の答えだと受けとらせてもらう。3人は祈ってた。わたしも祈ってる。

満員御礼! 〜「ペンライトの海が見たい」in Twitter Dome〜

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2日間のTwitterドーム公演、お越しいただきありがとうございました!

満員御礼どころかドームのキャパを広げないと収まらない数のペンライトが灯り、キラキラまぶしくてきれいだったなぁ……。会場で心を震わせたあの海、ここで見れました! 大満足!

準備の段階からペンライト引っ張り出して当時のことを振り返りながらワクワクしていたり、「明日がたのしみ」と言ってくれていたり、そういうのを見ている時点で胸がいっぱいだったのに(公演前日の晩からなぜか既に感極まっていて泣いてたのはここだけの秘密)、ツイートにはライブの思い出が添えてあって……‬(じわじわ広がっていく景色を見てずっと泣いてたのもここだけの秘密)、それもこれも全部NEWSがくれたものだなぁってジーンとした……。自分がすきになる前からのファンの方が並べたたくさんのペンライトを見て、昔から応援してる方がいるから今のNEWSがあるんだなと思ったりしました。


祈りの捧げ方は100人いれば100通りあっていいんじゃないかなと思ってます。それが自分にとって「ペンライトの海が見たい」という気持ちを形にすることでした。

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友人たちと「3(人)×5(本)で最低15枚は集まるねw」(残念ながら1本点灯しなかったことが後々判明したので、14枚の可能性もあったw)「55,000枚(の写真が)ほしいw」なんて笑いながら話してたのが、もうずっと昔のことのようだわ……。2人共、いっしょに考えてくれてありがとうございました。スペシャルサンクス!

 

‪個人的には数より思いが大事だったし、どこかへ届けるつもりはなかったけど、たくさんの熱い思いがスペシャルゲストを連れてくるという奇跡のようなことも起きました。しかも公演開始を謳った17時に。誰も持っていないはずのSTORYのペンライトを見て「ずるい〜!いいな〜!」と口々に言っているのがね、何気にグッときたりした。このペンライトの照らす道がNEWSの選択肢の1つになってくれたらうれしいなと思ってしまうほど暖かくて、強くて、大きなムーブメントになって、きっと自分が一番驚いてる。すごいね。

‪追加公演の予定はないので、次は本物の会場でペンライトを振れることを願いながら、結びとします。最後になりますが、リプ等お返しできておらずごめんなさい! そして画像を集めて1枚の景色にすることも考えたりはしたんだけど、勝手に再利用するのは忍びないのでやめました。いやぁ〜、たのしい週末だった!