宝箱

すきの定義は「心を動かされる」こと

「僕の常識が 覆る音聞」こえた〜なにわ男子 First Live Tour 2019 ~なにわと一緒に#アオハルしよ?~

アイドルの全部を見せてほしいとは思っていないタイプだった。本人たちが見せたいと思う部分だけを受け取りたい。余計なことはあまり勘ぐりたくない。パフォーマンスに心が震えるだけで、十分たくさんのものをもらっていた。

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それが、だ。あの日、「なにわ男子 First Live Tour 2019 ~なにわと一緒に#アオハルしよ?~」1月5日大阪城ホールでの夜公演、ツアーのオーラス。わたしはもらいすぎてしまったのかもしれない。ライブであんなに泣いたことは今までなかったし、あんなに泣くつもりはなかった。泣いたことを伝えたいのではなく、それほどに揺さぶられた話がしたい。発言や景色は断片的に覚えている限りで、すべてニュアンスです。

 

そもそもきっかけは本編最後の挨拶、大西流星くんのことばだった。

「生まれ変わってなにわ男子にならなくても、……なにふぁむ(なにわ男子のファンの総称)になりたい」
……そんなこと言う人を知らなかった。このことばの後、会場がざわめいたのを覚えている。わたしの心もザワザワした。そっと「あなたがいないとなにわ男子じゃないんだよ」と思いながら。
「ジャニーさんが作ってくれたこのグループ、絶対に守り抜くことを誓います」
小さな頃から"前"であることを背負い、カウコンに出られない自分の年齢を恨み、グループの解体や去る人の背中を見てきた、それでも影を感じさせないキラキラと輝くビー玉のような瞳でそう話した。ゆっくり、ことばを確かめながら、会場中を眺めて。

長尾くんもすごくいいことを言ってた。

「去年は"初"をたくさんもらいました。今年は"2年連続"を獲得していきたいと思います」

すごく頼もしい最年少。自分のことばでこうして語れるっていうのがステキだよ。

「CDデビューします!」

丈橋に続いて"デビュー"を口にしたのは長尾くんだった。長尾くんから溢れる自信を感じる。それも確信に近い。丈橋が感じてるなにわ男子のパワーを同じようにグループ最年少が感じてる、聡い。最年少と最年長が同じ感覚を持っているというのは、バラバラだった目線がまさに一つになってきているということ、短い間にグッと上がったグループ力の高さに驚く。

恭平ちゃんの「(会場のペンラが紫に変わってくのを見て)紫になっていくぅ〜。紫畑や!……紫芋畑か」を思い出して笑ってる。ペンラが一面自分のメンカラに変わっていくのって、どんな気持ちなんだろう。メンカラがないから一生わからない感情だけど、本人はうれしいって思ってるんだなってうれしくなった。

「このツアーが終わっても、もっと上目指して、どの世代からも愛される国民的アイドルになれるようにがんばります」

このことばと、みっちーが言う、

「トップアイドルを目指して駆け抜けます」

がシンメで堪らんかった。一見(キャラというか、仕事に対するスタイル的な意味で)クールに見える2人から上へ上へという気持ちが伝わってきて、胸がアツい。純粋な真っ直ぐさが似てるなぁと思う。

年下組が捌け、年上組が出てくる。丈くん。

「年男なんです。カウコンで年男企画の6人に入れなかったのが悔しかった」

少し泣きそうな顔をしていた。ファンが悔しいと思ってた以上に、ツアーの最後にこのエピソードを話すくらい、本人はとんでもなく悔しかったことに気づかされ、胸が焼けるかと思った。ヒリヒリして苦しくて、思い返すだけでちょっとダメになる。

「デビュー組は個人個人のマグネットがあるんですけど、なにわ男子はグループのマグネット1つで。来年は絶対個人のマグネットがほしい」

引き続いてカウコンの話。丈くんは、彼の目から見た情景が見えるようなエピソードを話す。この人の炎はかなり燃えていて、その眩しくて目を瞑りそうになるほどの煌めきに触れ、思わず目閉じた。羨ましいんだよ、そんな丈くんのこと。日が経つにつれて実感すること、わたしは丈くんに嫉妬してる。アイドルを応援していて、こんな気持ちになるのは初めて。なんだろうね。

「一生ついてきてください!」

「一生ついていきます!」

心がかき乱されたと思ったら涙が引っ込むほどのマウントをとってくる大橋くん、横目で見ながら堪えるようにして暗闇の中で丈くんは笑ってるし、こんなところでも逃さない丈橋はこわい。

「(年下)4人は最初の頃あんまりしゃべれなかったけど、それぞれのことばでしゃべれるようになって、自分もまだ子供なんですけど、大人組も負けないように成長しないといけないなって話もする」

年下を育ててる意識はあんまりないのかも。歳や歴が違っても同じグループ、あくまでチームの仲間、ライバルとして見ているんだろうな。印象的だったのは360度の話。

「360度、みなさんが支えてくれて」

そう言ったとき「360度ではないぞ……!?」と会場がざわめいて。そのあと、笑い声を察知しながら何もない後ろを振り返ってなんて言ったと思う?

「違うよ〜、ステージの後ろにもスタッフさんがいるから」

………………………陥落。

いつも想像を優に超えてくる。こういうところがだいすき。大橋くんは自分もグループも少し上から見渡しているようなところがある。物語の語り手、よりもさらに外側、本を読んでいる人の上から見てるように感じる。緑のペンラが揺れるのを見て森林、青のペンラが揺れるのを見てさざなみのようで癒されると言ってた。あなたの目から見える景色を、たまにでいいからコソッと教えてほしい。

最後は大吾くん。

「これは西畑の問題なんですけど、もちろんたのしいってのは一番にあったけど、1年前はステージに立つのがこわいことがあった」

ことばを選びながら、そう言った。たぶんこのときもう泣いてた。

「でも1年経って、毎日たのしくて幸せです」

「なにわ男子は僕にとって夢であり、希望であり、宝物です」

知らない。大吾くんがどんな気持ちで今まで関ジュのセンターを走ってきたのか。当時の空気を感じることもできない。でも今幸せだということが知れたらそれでいいかな。

「こわいことがあった」が「毎日たのしい」に変わったのは、彼がつくづく言う「グループっていいですね」に尽きるのだと思う。初めて見たときは弱みを見せないような気を張っているように見えた顔も、今はリラックスしているように見える。「涙腺がゆるくなった」とよく言うけど、今まで抑えていた涙を開放できる場所を見つけたんじゃないかな。

 

個人個人がきっとたくさんの景色を見たここまでだったんだと思う。その集大成の単独ツアーオーラスの幕が降りようとしていた。昼公演まで同様アンコールまで歌い切った後も会場から止まない声。そしてそのときはやってきた。声に手招かれてステージに現れる。

「最後に聞いてほしい曲があります」

大吾くんがそう言って、Wアンコールの曲のイントロがかかるとばかり思ってた。わたしも、彼らも。しかし、次の瞬間に見えたのはモニターに流れる去年の関ジュあけおめ公演の映像だった。驚くことに、ビックリしたのはファンだけじゃなかった。本人たちも知らなかった。

ここからよく覚えてない。発作のように涙が出た。グループ結成間もない頃からアオハルツアーまでの映像と、彼らをいつも見守ってくれた人からの労いと応援のメッセージ。モニターを見上げて、腰を抜かして立てない人、涙で見えてないんだろうなってくらい泣いてる人、堪えたかったのに泣いちゃった人、肩を震わせながら耐えてる人、気丈に振る舞う人、彼らが歩いてきた道全部は知らないけど、ここまで来るのにどれだけの気持ちを抱えてきたんだろうって。今まで前を向いて笑顔で輝く姿しか見せられてこなかったのだと、心底実感した。でも知ってしまった、それだけじゃないことを。グループ結成から怒涛の日々で、単独ツアーというグループにとって一番大きな仕事を終えるまで、こちらが知らないたくさんのことがあったんだと思う。そんな顔一切見せずに幸せだけ与えてくれてた。

映像が終わり、My dreams。丈くんは泣かないんだなって見てた、そのときだった。「どこまでも続く夜空」と歌い出す前に暗闇の中で一瞬笑ったのが見えた。震えた。「不安に押しつぶされそうで」の途中、声が裏返って、そのあとは歌えなくなってた。初めて見た、丈くんが泣いてるところ。胸が苦しくて止まらなくて、どうしたらいいのかわからなかった。そんな中、続く「いつか掴めるかな」と力強く歌ったのは大橋くんだったことはちゃんと残ってる。丈橋は2人で泣かないんだなと気づき、シンメ厨は余計にしんどかった。

曲を歌い終わって、話始めようとするも喋れない大吾くんの代わりに「おっしゃ〜」と出て行く大橋くん。

「この曲いい曲よね〜、しみじみ……」

笑顔で話始めようとした大橋くんが急にことばを詰まらせた。うわーんと泣き出す。

しじみちゃうも〜〜〜ん!!!」(ずっと「しみじみ」を「しじみ」と言ってた) 

あ〜〜〜 大橋くんも年相応の男の子だった。歌い終わるまでは目を潤ませながらも我慢してるように見えたけど、ちゃんと声をあげて泣けるんだ。そんなことを思う反面、心は冷静さを欠いて、もうぐちゃぐちゃだった。次々に湧き上がる感情のオンパレードで訳がわからない。

しじみ発言で泣いてたみんなが笑顔になって、大橋くんがリーダーでよかったなーって思った。そこにいるだけで辺りを照らす、太陽のような人。

 

あれから1週間経つ今も、ぼんやりとあの刹那の時間にうなされる。

どこまで受け取っていいのか、どこから受け取らない方がいいのか、わからなくなってしまった。彼らの涙の意味を、堪える意味を、強い瞳の意味を、理解するにはどうしてもいろいろと考えてしまう。パーソナルな部分に踏み込みすぎることを躊躇しながらも、彼らが泣いたり笑ったりする姿に心を動かされたということは事実だったからなにも言えない。どうしようもなく心を揺さぶられて、心臓の音がずっとうるさい。


”エモい”という感情はこういうことを言うんだろう。翌日更新された大倉くんのWebには”青春”と”涙”について書いてあった。ズルい、けど関西特有のエモさを自然と引き出す名プロデューサーだと思った。いつも愛をありがとう。

 

単独ツアーを駆け抜けた7人は、雨に濡れながら、その頭上に虹をかけていた。これからも、そのきれいな虹をかけるためにより一層輝くんだろうなぁ。
あの日、あの瞬間、「僕の常識が 覆る音聞」こえた。