宝箱

すきの定義は「心を動かされる」こと

彼らが歌わない意味、わたしが歌う意味

SmileUpProjectの一環として行われている「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」。NEWSの出演は今日、3日目。

昨晩、急にこわくなった。なにかが。ずっと整理しないまま放っておいた部分があったけど、それと対峙しなければいけない。欠けた歌にわたしはなにを思うんだろう。

迎えた当日、出演時間までしばらく心臓が痛かった。違う、ライブの前はいつもこうなんだって。具合悪くなるタイプだから。通常運転。

 

始まった。イントロが流れる。「希望~Yell~ 」だと思ってた。今思えば宣伝動画の刷り込みもあったのかもしれない。あの動画に映ってたのは間違いなく「君に幸あれ」の振付で、「あぁ、とんだミスリードをさせてくれたな」と。

 

3人が別々の場所に分かれて立ち、増田さんが歌い始めたのは「クローバー」だった。

 

「クローバー」は最新アルバム『STORY』でメンバーが作詞作曲を手掛けた楽曲。過去の曲のサンプリングの上に、メンバーそれぞれが書いた詞を乗せ、そのパートをソロで歌いながら繋いでいくという構成。ファンにとっても歌う姿を見るのは初めてのこと。

増田さんが形にしたその愛を聴いて、1曲目から声をあげて泣いた。なにかを思ったわけでもなく、反射で。堰を切ったように、ダムの決壊は止まらない。加藤さん、小山さん、そして彼へバトンが渡されることをわたしたちは知っていた。心臓の音がうるさい。このときはまだ「全部3人で歌うのかな」と思っていた。小山さんが自分のパートを歌い終わる。どうなるの。誰が、どう、歌うの。

本当は歌があったその場所には、なにもなかった。彼以外の歌声も、歌詞のテロップも。3人が流れ続ける音を背にスタンドから降りてくる。きっと、この曲を知らない人から見たら、間奏だった。でも、知ってる、ここを歌えるただ一人の人を。聴こえる、あの声が。

あの日 僕ら偶然出会い
まぶしい 毎日が始まり
ひとり 僕じゃ全然できない事ばかりだったけど

希望をくれた君へ
心を込めて
感謝の Yell を

いないはずなのに聴こえたその声を通り過ぎた。そのまま通り過ぎるのかと思ったら、3人は声を合わせた。

ずっと同じ景色見てきたね

君がいるから幸せ
幾千の悲しみや別れ乗り越えて
永遠に君に幸あれ

元々はファンに向けられた曲。でも、今日だけはファンだけに向けた歌詞じゃなかったと思っていい? 

 

呆然としている間に続くおなじみの「weeeek」も、感情がすり切れるような「エンドレス・サマー」も、去年のソロも、今年のソロも、全部、全部、NEWSで、よかった。「だいすきだ、諦めたくない」そうずっとずっと思いながら見てた。映画のエンドロールにはまだ早い。なにがあっても、NEWSは変わらずNEWSだ。弱っていたのは彼らじゃない、自分の心だと気付かされた。

 

永遠に続くような気がしても、終わりは来る。そのときになにを選ぶのか、わたしはずっと前から知っていた。絶対に「U R not alone」を歌う。確信めいた、でもなく、確信だった。その答えを教えてくれたのは、NEWSと自分が過ごした時間だったと思う。この楽曲を歌うNEWSは、世界一力強くて、世界一脆い。

「U R not aloneーーー!!!!!」そう叫ぶ増田さんの声で、横浜アリーナに呼びつけられた。感覚的な話すぎるんだけど、なぜかわたしはそこにいた。続いて映し出された小山さんも、加藤さんも、「会場」を見ていて、「声」を聞いていた。何回も見た、その姿。いつもと同じなのに、彼がいないことだけが違った。

あの日つまずいて
しゃがみこんでしまうほどの痛みさえ

マイクを通さずに歌うコヤシゲ、2人の間で口を閉じたまま笑いもしない増田さん。動揺した。苦しい。たとえそのパートが永遠に続いたとしても、増田さんは歌わないような気がした。増田さんにとって、唯一無二の、その声の、代わりなんてきっとやらない。

ああどうか 力を貸してくれないか
昨日までの僕よ 共に乗り越えてきたじゃないか
僕は誓うよ 一切引かないし 一切負けない
生まれた日から今日までの 僕が見てる
明日もそう
少しずつ前へ not alone

正直に言うと、今までのライブでさえここまで泣きながら歌ったことがないっていうくらい、嗚咽と下手くそな歌声は部屋に鳴った。一人暮らしをしているわたしの声は、誰にも届かないのに。なんのためでもなかった。ただ、歌いたかった。だから歌った。

 

彼の代わりをするようなことはしなかった。空いている場所は空いたままだった。それが3人の答えだと受けとらせてもらう。3人は祈ってた。わたしも祈ってる。